Vieni sul mar

名前は思い出せない
どこにでもあるような裏通りの店
明るいうちは濃すぎるコーヒーを出し
暮れれば薄くはない酒を出す
そんな騒がしくも懐かしい店の片隅で
老いたアコーディオン弾きがうたっていた
錆びた声で 船乗りの歌を
のびちぢみする波が潮風をよびこみ
砂でざらつくテーブルには帆柱の影が落ちて
カードは月に剣 ヒトデ 水晶 それに白い花・・
どこかで見た?
そんな気がするだけだね
波の隙間におりたたまれた記憶は
そのまま朽ちていく流木 あるいは
ひらけば音もなく崩れる物語の1ページ
おいでと歌う声に背を向け
扉を押して店を出れば 青い闇に沈む見知らぬ町
よそよそしさに一瞬たじろぎ
でも踏み出せばまたその足から同じ闇に染まっていく
あの夏は遠く
海はもっと遠い
旅するウサギ

1
小川の水の はじまりの 最初のしずく 見たいんだ
待ちかねていた 雨あがり 扉をあけて 出かけよう
いろんな道を 歩いたよ いろんな人に 出会ったよ
言葉や笑顔の ひとつずつ
大切な宝物 かばんにつめこんで
*
ららら 旅はつづく 地球はまわる
どんなときでも 日はのぼる
ららら 旅はつづく さびしくないよ
きのうから あしたへと 歩いていく
2
展望台の てっぺんで 大きく息をすいこんで
小さく見える あの場所の 小さなぼくに 手を振ろう
知らない町の 絵葉書が きみのところに 届くころ
ぼくはめざしてる 次の町
いちばんのおみやげは 心にしまってく
*
ららら 旅はつづく 地球はまわる
どんなときでも 日はのぼる
ららら 旅はつづく さびしくないよ
きのうから あしたへと 歩いていく
**
だから 旅はつづく 地球はまわる
そんなことさえ 知らなかった
だから 旅はつづく ひとりで行くよ
きのうから あしたへと 歩いていく
(C)閑猫堂2012




